バッテリーの寿命について

電動アシスト自転車で主に使用されるリチウムイオンバッテリーには、寿命があります。
これは充電回数に応じて容量が減少していくという特性があるからです。2014年現在、3大メーカー(パナソニック・ヤマハ・ブリヂストン)が使用しているリチウムイオンバッテリーは700~900回の充電で容量が半減するとしています(2014年版カタログより)。

充電・放電を繰り返すごとに徐々に減少していきます

リチウムイオンバッテリーの容量は、いきなり半分になるのではなく、充電・放電を繰り返すごとに徐々に減っていきます。そして700~900回の充電をする頃には容量は約半分になります。(2014年時点のパナソニック・ヤマハ・ブリヂストンのカタログに記載)。この700~900回はあくまで標準的な使用を元に算出した値で、実際の使用状況により異なってきます。例えば、高温下で保管や使用をすると劣化が早まりますし、残量ゼロまで使い切ってしまうと劣化が進みます。

そして最後は強制的に使用不可に

標準的な使用で700~900回で容量が半分になっても、まだ使用が可能です。その後もゆるやかに容量は減少してきますが、いきなりゼロにはなりません。容量が減ってくると、一回の充電で走行できる距離が減ってきます。走行距離が実際に使用に見合わなくなった時、バッテリーの交換をされる方もいらっしゃいます。

では、容量がゼロになるまで使用できるかと言うと、実はそうではありません。リチウムイオンバッテリーは劣化が進み容量が減少してくると、液漏れや発火などのリスクが上昇してきます。万が一の事故を防ぐため、あるところで突然使用できなくなります。実はリチウムイオンバッテリー自体にあらかじめ充電回数(総充電容量)や使用年数、劣化の度合いに応じて自動的に使用をストップさせるプログラムが内蔵されています。これがリチウムイオン電池の最終的な寿命になります。どのような条件でプログラムが発動するかは明らかにされていませんが、プログラム自体が搭載されていることは、メーカーの情報により明らかになっています。
【参考】ブリヂストンのプログラム書き換えについてのお知らせページ

バッテリーの使用状況をチェックする方法

3大メーカー(パナソニック・ヤマハ・ブリヂストン)のバッテリーには、バッテリーの使用状況(残りの容量や充電回数)などをチェックする方法があります。(メーカーごとに異なるので現在調査中)

 バッテリーの寿命をのばす使い方

まずどのような時にバッテリーの劣化が進みやすいか列挙してみたいと思います。

  1. バッテリーが満タンの時、また、残量が少ない時
  2. 高温下および低温下で充電、使用するとき
  3. 満タンまたは、残量がゼロで長期間放置
  4. 高温下で保管するとき

この条件で劣化が進むので、これの逆をしてあげればよいことになります。
順に考察していきたいと思います。

1の「バッテリーが満タンの時、また、残量が少ない時」は劣化が進みます。このため、「使い切ったら、すぐ満タンにしてまたすぐ使う」というのが理想的な使い方です。「少しでも使ったら次に備えてとりあえず満タンにしておく」という使い方は劣化を早めます。しかし、心理的にはいつ使うかわからないので、常に満タンにしておきたいですよね。毎日使う場合は、これでもいいかもしれません。良くないのはたまにしか使用しない場合です。この場合は満タンの状態が長く続くことになります。使い終わったら充電するのではなく、使用する前に充電するようにするといいでしょう。
また、残量が少なくても劣化が進みます。最も劣化が少ないのは40~60%程度充電された状態ですので、使い切ったまま放置するのでななく、ある程度充電しておくと良いでしょう(特にたまにしか乗らない場合)

2の「高温下および低温下で充電、使用するとき」についてです。充電については、常温(20℃程度)で充電するのが理想的です。なかなか難しいですが常温で充電するといいでしょう。玄関先や屋外では充電せず、生活空間で行うようにすればある程度の気温の範囲内で充電できると思います。また最近の充電器は温度が高い場合・低い場合は充電を抑制する機能が搭載されているのであまり気にする必要はないかもしれません。
高温下・低温下での使用については、できれば避けたいですが、使用状況を考えるとなかなか難しいと考えられますので、出来る範囲で行えばよいと思います。

3の「満タンまたは、残量がゼロで長期間放置」は1と似ている点もありますが、特にたまにしか使用しなかったり、使用を中断している場合などについて言及します。
先にも述べましたが、リチウムイオン電池の劣化が最も少ないのは充電量が50%前後の場合です。長期間乗らない場合は半分くらい充電しておくといいでしょう。またリチウムイオン電池は使用していなくても、自然放電で充電残量が減少していきます。たまに充電してあげるといいでしょう(最低3ヶ月に1回)。
また、中古や展示品の電動アシスト自転車を購入したり譲り受ける時は注意が必要です。保管時に完全に放電してしまいバッテリーが劣化しているケースがあります。いざ乗ろうと思ってもほとんど走行できない時もあります。

4の「高温下で保管するとき」についてです。長期間保管する時は、常温で保管するとより長持ちします。最悪なのは3と4が合わさった、満タン・高温下での保管です。できればこの状態を避けるようにしてください。
また、例えば通勤で電動アシスト自転車を使用しているケースでは、職場の駐輪場は直射日光があたり温度が高くなるといった場合があります。このような時、できればバッテリーを外しておくのがベストですが、そうもいかないときもあります。そのような時は、タオルなどをかけて直射日光を遮り、高温にならないようにするのも一つの方法です。

いろいろと考察してきましたが、簡単にまとめると下記のようになります。
「リチウムイオンバッテリーは、高温を避け、使い切ったら満タンにしてまたすぐ使う」です。