電動アシスト自転車の乗り方

電動アシスト自転車は通常の自転車と特性が異なります。いくつか気に留めておくとよりスムーズに使用することができます。

上り坂の場合

上り坂は急いで登ると十分なアシスト力が発揮されません

電動アシスト自転車は速度が早くなるにつれてアシスト力が弱くなっていきます。これはスピードの出しすぎを防ぐためです。アシスト力は時速10kmまでは一定ですが、10kmを超えると徐々に下がっていき、24kmを超えるとゼロになります。
上り坂を登る時、勢い良くペダルを漕いでスピードを付けた方がいいようにも思いますが、10kmを超えると逆にアシストが下がり、ペダルが重くなってしまいます。特に長い登り坂は、ギアを低めにして、焦らずにゆっくり登るといいでしょう。

上り坂の終わりは飛び出すことがあります

電動アシスト自転車はペダルにかかるトルク(ペダルを踏み込む力)をセンサーで感知して、それに応じてモーターを回転させてアシストをしています。坂道に入ると、ペダルを強く踏み込むため、これに反応してアシストがかかり楽に坂を登ることができます。
ところが坂が終わる直前でペダルを強く漕ぐと、坂が終わっているのに、強くアシストされて思ったよりも前に進む時があります。特に坂が急に終わるところで発生する減少です。たとえば、上り坂の上に交差点があったり、T字路や十字路にがある場合などです。このような坂を登る場合、坂の終わりでペダルを漕ぐ力を少し弱めるといいでしょう。何度かやってみると感覚をつかめると思います。

車種によってはアシストがかかるのが遅くふらつくことがある

機種によってはアシストがかかるまでに若干のタイムラグ(時間差)があることがあります。この時、踏み込みが足りないと前に進まずふらつくことがあります。このタイムラグは車種によって異なります。
電動アシスト自転車の口コミを見ていると、アシストが遅れる減少については、3大メーカー(パナソニック・ヤマハ・ブリヂストン)の車種はあまりみかけませんが、中国製の低価格機でよく見かけるような気がします。日本のメーカーはセンサーの精度などを改良しているかもしれません。
ただし、その自転車の特性を理解し、体で覚えてしまえばそれほど影響はないかと思います。

前輪モータータイプの場合、急な坂道では前輪が空転することがあります

急な坂道では、重心が後輪に側に偏り、前輪が浮き気味になることがあります。完全に浮くことはありませんが、人間で言えば、「足に力が入らず踏ん張りがきかない」というような状態になります。この時、前輪にアシストがかかると前輪が空転してうまく前身しないことがあります。前輪にモーターが付いているタイプでは、急な坂道には注意して下さい。
最も一般的なセンターモーターや後輪モーターの場合は、荷重が十分にかかっている後輪にアシストが加わるので前輪のような空転は起こりにくくなります(滑りやすい路面ではスリップする可能性があります)

変速ギアの特長を理解しておく

自転車の変速ギアは内装タイプと外装タイプの2つがあり、坂道での対応はそれぞれ異なっています。

まず内装タイプの場合は、停止時はギアの変更はできますが、走行時にペダルを漕ぎながらの変更することはできません。(ペダルを漕いでおらず惰性で走っている時は可能)
このため、坂道の途中から発進する時は、あらかじめギアを低めに変更しておく必要があります。走行中の場合は、坂道に差し掛かる前か、まだ勢いがあるうちにギアを下げておくといいでしょう。坂の途中でペダルを漕ぐのが辛くなった場合は、一旦停止するかもしくは、ペダルを止めた瞬間に変更する必要があり、急な坂ではバランスを崩してしまう危険性あります。内装タイプの場合は、停止時か早めにギアを切り替えておくとよいでしょう。

外装タイプの場合、停止時はギアを変更することができません。走行中のみとなります。
このため、坂の途中で発進する場合、停止する前に真ん中より低いギアに落としておいたほうがいいでしょう。高いギアで発進した後に、ギアを落とすこともできますが、ある程度脚力がないとふらついてしまう恐れがあります。

停止時の注意点

ペダルに力を入れない

信号待ちなどで停止中は、ペダルに力を入れないようにしましょう。ペダルに力がかかると、トルクセンサーが反応して前に進もうとする場合があります。例えば信号待ちなどの際に、交差点に侵入してしまったら大変危険です。停止時はペダルに力をかけず、ブレーキはしっかり握っておきましょう。慣れない内はペダルから足を離しておくと確実です。

発進時の注意点

けんけん乗りは危険です

電動アシスト自転車の場合、けんけん乗り(片方の足をペダルに載せてけんけんするようにして加速し、その後サドルをまたぐ乗り方)は危険ですのでやめましょう。けんけん乗りをするとトルクセンサーが反応して、自転車が急に加速することがあり危険です。

初めての方は練習しておくことをおすすめします

電動アシスト自転車を初めて乗る方は、本格的に使用する前に公園や車・人通りの少ない道で練習しておくことをおすすめします。練習と言っても大げさなものではなくて、発進時の感覚をつかんでおくことです。漕ぎだす時、どれくらいの時間でどれくらいのアシストがかかるか体感しておくと、よりスムーズに本格的な使用を開始できます。

雨の日の運転について

雨の日は視界が悪く滑りやすいので注意が必要です。特に注意した方がいいのが、マンホールや側溝の蓋(金属製)の上を走行する時です。アスファルトやコンクリートとと異なり、濡れた状態では非常に滑りやすくなっています。ここでアシストがかかった場合、タイヤが滑って転倒する恐れがあります。雨の日の走行時は特に注意して下さい。

快適走行のポイント

電動アシスト自転車を軽快に快適に運転するためには、走行モードと変速ギアを使うようにするとうまくいきます。
現在発売されているほとんどすべての電動アシスト自転車は「走行モード」を選択することができます。例えば、ヤマハの場合、4つのモードを搭載していて、手元のスイッチで切り替えることができます。

強モード 常にパワフルアシストで頼りになるモード 発進時や急な坂道、楽に走行したい時
標準モード パワーと距離を両立できるお勧めモード 平坦な道や緩やかな坂道など
オートエコモードプラス かしこく節電し走行距離を伸ばすモード できるだけ長い距離を楽に走りたい時など
アシストオフモード アシストをオフにできるモード メインスイッチの機能を活かしながら、普通自転車として走りたい時

また適切なギアの選択をすることにより、ペダルを踏む力を軽くすることができます。また、合わせてバッテリーの持ちを良くすることも可能です。例えばヤマハの3段変速の場合、下記のような設定が例として示されています。

平坦な道~緩やかな上り坂
(0~3.5%の勾配)
変速位置
3または2
緩やかな上り坂~やや急な上り坂
(3.5~7%の勾配)
変速位置
2または1
やや急な上り坂~急な上り坂
(7~10.5%の勾配)
変速位置
1

バッテリーが切れた時

バッテリーが切れても電動アシスト自転車は通常の自転車として走行することができます。電動アシスト自転車が発売された当初はバッテリーが切れてると、ペダルがかなり重かったようですが、最近のものは以前に比べて軽く走れます。
アシストありのようにスムーズに走れませんが、変速ギアをうまく使用すれば、坂道も登ることができます。

ライトの電源をバッテリーから供給している機種はバッテリーがなくなると、ライトも切れてしまいます。夜間を走る予定がある場合は、バッテリー切れを起こさないように充電しておくか、もしくは、万が一の時のためにハンドルに取り付ける電池式のライトを持っているといいでしょう。